
今回は、「みやざき農業実践塾」の第6回研修で学んだ土づくりと堆肥の基礎知識について紹介します。堆肥は土に栄養を与えるだけでなく、土壌の物理性・化学性・生物性を総合的に改善する重要な資材です。研修では、堆肥の種類ごとの特徴や効果、施用時の注意点など、土づくりの基本について学びました。
土壌の「物理性・化学性・生物性」を高める基本資材
野菜や花を元気に育てるためには、土壌の「物理性」「化学性」「生物性」の3つのバランスが重要です。そして、その土づくりに欠かせない存在が「堆肥」です。
今回は、堆肥の役割や種類ごとの特徴、施用時の注意点について分かりやすく解説します。
堆肥とは?
堆肥とは、わらや落ち葉、家畜ふん尿などの有機物を積み上げ、微生物の働きによって好気的に発酵・分解させたものです。
一般的には広く「堆肥」と呼ばれていますが、原料によって次のように分類されます。
- 堆肥:わらや落ち葉など植物性有機物を発酵させたもの
- きゅう肥:家畜ふん尿を発酵させたもの
- コンポスト:食品残さなど有機性廃棄物を発酵させたもの
実際には、家畜ふんにオガクズやバークなどを混ぜて製造されることが多く、総称して「堆肥」と呼ばれています。
堆肥が果たす3つの役割
① 物理性の向上
堆肥を施用すると土壌の団粒化が進みます。
その結果、
- 保水性が高まる
- 通気性がよくなる
- 排水性が改善する
- 根が伸びやすくなる
といった効果が期待できます。
② 化学性の向上
堆肥には、
- 窒素
- リン酸
- カリウム
- カルシウム
- マグネシウム
などの養分が含まれており、作物の栄養源となります。
③ 生物性の向上
堆肥は土壌微生物のエサになります。
微生物が活発になることで、
- 有機物の分解
- 養分の循環
- 健全な土壌環境の維持
につながります。
堆肥の種類によって効果は異なる
堆肥は種類によって特徴が大きく異なります。
鶏ふん堆肥
- 肥料成分が非常に豊富
- 分解が速い
- 即効性が高い
窒素が早く効くため、施用量には注意が必要です。また石灰分を多く含むため、pHが高い土壌では使用を控える場合があります。
豚ぷん堆肥
- 窒素とリン酸が多い
- 牛ふんと鶏ふんの中間的な性質
肥料効果と土壌改良効果のバランスがよい堆肥です。
牛ふん堆肥
- 肥料成分は比較的少ない
- 効果はゆっくり現れる
- 土壌改良効果が高い
分解されずに土に残る有機物が多く、良好な土づくりに適しています。
バーク堆肥
- 肥料成分は少ない
- 土壌をやわらかくする
- 通気性・排水性を改善する
長期的な土壌改良に向いています。
効果の違いを決める「C/N比」とは?
堆肥の特徴を理解するうえで重要なのが C/N比(炭素率) です。
C/N比とは、
炭素(C)と窒素(N)の割合
を表したものです。
一般的に、
- C/N比が低い → 分解が速い → 肥料効果が高い
- C/N比が高い → 分解が遅い → 土壌改良効果が高い
という傾向があります。
| 有機物 | C/N比 | 分解速度 | 主な特徴 |
|---|---|---|---|
| 鶏ふん | 5~9 | 速い | 肥料効果が高い |
| 豚ぷん | 約10 | 中程度 | 養分が豊富 |
| 牛ふん | 約15 | 遅い | 土づくり向き |
| バーク堆肥 | 20~30 | 非常に遅い | 土壌改良向き |
堆肥を使う際の注意点
完熟堆肥を使用する
未熟な堆肥は発酵途中のため、
- ガス障害
- 窒素飢餓
- 根傷み
などを引き起こす可能性があります。
完熟堆肥の目安
- 色:黒褐色~黒色
- におい:悪臭がない
- 水分:約50%
散布時期にも注意
堆肥は播種や定植の直前ではなく、
- 定植の2週間前以上
- できれば1か月前
に施用し、土とよく混ぜてなじませることが大切です。
堆肥は肥料としても活用できる
堆肥には窒素・リン酸・カリウムだけでなく、
多量要素
- 窒素(N)
- リン酸(P)
- カリウム(K)
- カルシウム
- マグネシウム
微量要素
- 鉄
- 亜鉛
- 銅
- マンガン
- ホウ素
なども含まれています。
そのため、堆肥に含まれる肥料成分を把握すれば、化学肥料の施用量を減らすことが可能になります。
例えば牛ふん堆肥を10a当たり1t施用した場合、窒素の一部がその年に利用され、残りは翌年以降に徐々に利用されます。
つまり堆肥は、
「土づくり資材」であると同時に「緩効性肥料」でもある
ということです。
同じ堆肥でも成分は大きく異なる
注意したいのは、同じ「牛ふん堆肥」や「鶏ふん堆肥」であっても、
- 原料
- 副資材
- 発酵期間
- 製造方法
によって養分含有量が大きく変わる点です。
そのため、実際に使用する堆肥の分析値や成分表を確認し、施肥設計に反映させることが重要です。
まとめ
堆肥は単なる有機物ではなく、土壌の「物理性」「化学性」「生物性」のすべてを改善する重要な資材です。
特に、
- 土づくりを重視するなら牛ふん堆肥やバーク堆肥
- 肥料効果を重視するなら鶏ふん堆肥
- バランスを求めるなら豚ぷん堆肥
といった使い分けが有効です。
また、完熟堆肥を適切な時期に施用し、成分を把握した上で施肥設計を行うことで、化学肥料の削減や持続的な土づくりにもつながります。
堆肥の特性を理解し、自分の圃場や栽培作物に合った活用方法を選ぶことが、健全な土づくりへの第一歩といえるでしょう。
宮崎県では県内の堆肥情報を簡単に検索できる「みやざきの堆肥検索サイト」が公開されています。堆肥の供給情報だけでなく、施用量を計算できる便利なツールも用意されているため、これから土づくりに取り組む方にもおすすめです。
宮崎県ひなたMAFiN
https://hinatamafin.pref.miyazaki.lg.jp/soshiki/chikusanshinkoka/138.html



コメント